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COLUMN

審査する人は、あなたの事業を知らない

行政書士 保利澄香 補助金・助成金・融資

補助金の申請書類を自分で書き始めて、途中で手が止まった。このご相談、本当に多いです。公募要領は読んだ。書式もダウンロードした。事業への想いもある。なのに、マス目を前にすると言葉が出てこない。

私は、これは文章力の問題ではないと思っています。原因はほとんどの場合ひとつで、読み手を想定できていないことです。

読み手は、業界の外の人です

補助金の審査は、基本的に書面だけで行われます。審査する方はあなたに会いませんし、あなたの業界で働いたこともありません。ここがすべての出発点です。

事業者の方の説明は、どうしても「業界の中の人」向けになります。たとえば「SNS運用を内製化します」と書いたとき、それがなぜ売上につながるのかは、業界の人には自明でも、審査する側には飛躍に見えます。「うちの業界では当たり前」の部分ほど、書かないと伝わらない。むしろそこにこそ、審査で評価される「具体性」が眠っています。

もうひとつ大事なのが、公募要領は「審査の観点の目次」だということです。要領には、どんな取り組みを支援したいのか、何を評価するのかが書いてあります。自分の書きたい順番ではなく、審査する側が確認したい順番で構成する。同じ中身でも、これだけで読みやすさがまったく変わります。

書き換えのイメージを、ひとつだけ。たとえば「SNSを活用して集客を強化し、売上向上を図る」という一文、申請書で本当によく見かけます。これを審査の目線で組み直すと、こうなります。「主要客層である30代女性に向けて、Instagramで施術事例を週3回投稿し、プロフィールから予約ページへ誘導する。現在フォロワー1,200人・投稿経由の予約は月5件。広告運用を加えて月15件を目指す。客単価8,000円のため月8万円の増収を見込む」。書いてある事業は同じです。違うのは、業界の外の人が読んでも行動と数字がつながって見えることだけです。

申請した側として、知っていること

実は代表の私自身、別の事業で東京都の創業助成を使って開業しています。申請する側として書類を書き、指定された個別指導を受け、採択後の実績報告まで自分で通しました。

やってみて痛感したのは、申請書は「採択されたら終わり」ではなく「そのあと実行して報告する約束」だということです。格好よく盛った計画は、実績報告の段階で自分の首を絞めます。経費の区分や証憑の残し方まで、報告のことを見越して申請段階で設計しておく。この視点は、通した経験がないとなかなか持てないものだと思います。

実績報告の実務を少しだけ具体的に言うと、ひとつの経費につき見積書・発注書・納品書・請求書・振込の記録がひと通りそろって、はじめて認められる、くらいの感覚でいてください。現金で払ってしまった、明細のない領収書しか残っていない、といった理由で対象から外れるのは本当にもったいないので、採択されたら領収書の取り方から変える必要があります。

数字は「強みの証拠」として置く

数値計画も、多くの方が苦手にするところです。コツは、数字を先に作らないこと。まず事業の強みを言葉にして、その強みが数字のどこに表れるのかという順番で組み立てます。「リピート率が高い」なら、それが客単価や来店頻度のどの数字に出るのか。強みと数字がつながっている計画は、多少控えめでも説得力があります。根拠なく右肩上がりのグラフだけがある計画は、その逆です。

お約束できないことも書いておきます

採択の可否を決めるのは審査機関です。当事務所が結果をお約束することはできませんし、事実と異なる内容を書くこともできません。要件を満たしていないと判断したときは、着手前にそのままお伝えします。私たちがやるのは、事業の中身を偽ることではなく、すでにある強みを、審査する側に届く言葉と順番に置き換えることです。

「書き始めたけれど止まっている」段階の途中参加もお受けしています。初回のご相談と制度の洗い出しまでは無料です。お問い合わせフォームからどうぞ。

出典・参考(いずれも行政機関の公表資料です)

本コラムは制度の一般的なご説明であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別の事案についての法律判断・見通し、示談交渉、裁判手続の代理は行政書士の業務範囲外となりますので、必要な場合は提携の弁護士・税理士・司法書士をご紹介しています。

記載内容は執筆時点の情報にもとづいています。制度・運用は変わることがありますので、実際のお手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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