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農地転用の必要書類:農地法4条・5条、届出と許可でこれだけ違う

農地転用・都市計画法許可

農業委員会の窓口で書類の一覧を渡され、思っていたより多いと感じた方もいらっしゃると思います。反対に、拍子抜けするほど短い一覧で済む場合もあります。同じ農地転用でも、手続きの型によって、求められる書類の量は大きく違うためです。

どの一覧を見ればいいかは、農地法の何条の手続きなのか、そして届出で済むのか許可が要るのか、この二つで決まります。

必要書類は「何条か」と「届出か許可か」で決まります

農地転用の手続きには、権利を動かさずに農地を駐車場や宅地などに変える4条(多くは所有者ご本人が申請します)と、売買や貸し借りで権利を移すのにあわせて、買主や借主が農地以外の用途に使う5条があります。

もうひとつの軸が場所です。対象の農地が市街化区域の中にあれば、転用は農業委員会への届出で足ります(農地法第4条第1項第7号、第5条第1項第6号)。市街化区域の外であれば、原則として、農業委員会を経由して都道府県知事等に申請書を出し、許可を受けることになります(第4条第1項・第2項)。

組み合わせると、4条の届出、4条の許可、5条の届出、5条の許可の4通りです。このうち書類が大きく変わるのは、届出か許可かの違いのほうです。区域ごとの手続きの重さや、市街化調整区域で家を建てるときに都市計画法の許可も要ることは、市街化調整区域の農地に家が建たない理由と、農地転用の期間でくわしく書いています。

市街化区域の届出は、地図と登記事項証明書が中心です

届出の添付書類は、農地法施行規則で次のように定められています(第26条、5条の届出は第50条)。

  • 土地の位置を示す地図
  • 土地の登記事項証明書(施行規則で、全部事項証明書に限るとされています)
  • 農地が賃貸借の目的になっている場合は、その解約などについて農地法第18条の許可があったことを証する書面

5条の届出では、これに加えて、売主と買主など当事者が連署するのが原則です。判決による場合など、連署しなくてよい例外もありますが(施行規則第10条)、その場合はそれを証する書面が要ります。

書類の数は少なく見えますが、つまずきやすいところもあります。たとえば、相続した農地で名義の書き換えがまだ済んでいない場合です。登記事項証明書だけでは届け出る人が本当の権利者かどうか確かめられないため、国の要領では、戸籍謄本などの提出を求めて確認することが適当とされています。名義の書き換えは司法書士の業務ですので、先に相続登記を済ませるか、戸籍で足りるかを窓口に確かめてから動くと、二度手間を防げます。相続した農地の届出については、相続した農地は、農業委員会への届出が必要ですにまとめました。

届出の処理期間について、農林水産省の事務処理要領は、受理または不受理の通知書が、遅くとも届出書が届いた日から2週間以内に届出者に届くよう事務を処理することとしています。自治体の運用によっては、もう少しかかることもあります。そして、農業委員会に適法に受理されるまでは届出の効力が生じないことを届出者に説明し、受理通知書が交付されるまでは転用に着手しないよう指導することも定められています。受理されれば、通知書には届出書が到達した日に効力が生じた旨が記載されますが(施行規則第28条)、受理されるかどうかは通知が届くまで分からないので、通知を待ってから動くのが安全です。

許可申請では、計画の中身を書類で示します

市街化区域の外では、書類の性格が変わります。届出が「この土地を転用します」と知らせる手続きだとすれば、許可申請は「この計画なら転用を認めてよい」と判断してもらうための手続きです。施行規則第30条第1項が定める添付書類は、次のとおりです。

  • 申請者が法人の場合は、定款または寄附行為の写しか、法人の登記事項証明書
  • 土地の位置を示す地図と、土地の登記事項証明書
  • 建物などの施設と、それを使うための道路や用排水施設の位置を明らかにした図面
  • 資金計画どおりに事業を行うための資力と信用があることを証する書面
  • 転用の妨げになる権利を持つ人(耕作している借主など)がいる場合は、その同意書
  • 土地改良区の地区内にある場合は、土地改良区の意見書(意見を求めてから30日たっても得られないときは、その事情を書いた書面)
  • その他参考となる書類

このうち準備に時間がかかりやすいのが、図面と資力の証明です。国の要領では、位置図の縮尺を1万分の1から5万分の1程度、施設の配置を示す図面を500分の1から2,000分の1程度としています。資力と信用の証明には、金融機関の融資証明書、預貯金の残高証明書、源泉徴収票、財務諸表など、客観的に判断できる書面が例に挙げられています。あわせて、ほかの法令の許可や認可をすでに受けている場合は、それを証する書面も添えます。

土地改良区の意見書は、窓口が農業委員会とは別なので見落としやすい書類です。時間がかかることもあるので、早めに照会しておくと安心です。

なお、営農型太陽光発電を目的とする場合は、設備の設計図や営農計画などが別に加わります(施行規則第30条第2項)。

4条と5条で変わるのは、申請する人です

4条の申請者は、農地を転用する人です。借りている農地を借主が転用する場合は、借主が申請者になり、所有者の同意があったことを証する書面を添えます。

5条は、農地を売る人(または貸す人)と、買う人(または借りる人)が連署で申請するのが原則です(施行規則第57条の4)。添付書類は4条とほぼ同じですが、法人の定款や登記事項証明書は権利を取得する側のものを出します。資力と信用を示すのも、実際に転用して事業を行う買主や借主の側です。

売主の側からすると、書類の多くは買主に用意してもらうことになります。誰がどの書類をいつまでにそろえるのかを早めに決めておかないと、決済の日程に間に合わなくなることがあります。

処理期間は、許可のほうが長くなります。農林水産省の事務処理要領では、農業委員会が申請書を受理してから意見を付けて送付するまでを3週間(30アールを超える農地の転用などで都道府県農業委員会ネットワーク機構の意見を聴くときは4週間)、都道府県知事等が意見書などを受理してから許可などの処分をするまでを2週間としています。ただし、これは書類がそろって受理されてからの事務処理の期間です。申請の締切日を月ごとに決めている農業委員会もあり、総会の日程や事前相談の期間も加わるので、実際には1か月半から3か月ほどかかるのが一般的です。日程は窓口で確かめてください。

書類の一覧は、農業委員会ごとに違います

ここまでの書類は、法令と国の要領にもとづく基本形です。実際の申請では、農業委員会や都道府県に独自の様式やチェックリストがあり、追加の書類を求められることがあります。たとえば、現況の写真、隣接地の所有者の同意書、排水の放流先の同意書、事業計画書などです。同じ県の中でも、隣の市の一覧がそのまま使えるとは限りません。

反対に、国の要領で求めすぎないよう示されているものもあります。印鑑証明書などを一律に添付させるのは適当でないとされていますし、登記事項証明書は、農業委員会が照会番号などで登記情報を確認できる場合には添付を省略できます。ただ、省略できるかどうかはその農業委員会の体制次第です。

書類を集め始める前に、対象地の農業委員会のホームページで様式と手引きを確認するか、窓口で事前相談をするのがいちばんの近道です。農業振興地域の農用地区域(いわゆる青地)の農地は、原則として転用が許可されず、書類をそろえる前に農用地区域から外す手続きが必要になることがほとんどなので、ここも最初に確かめておきたいところです。地番や区域区分の調べ方は、相続した農地、まず何から調べればいいのかで順番にご紹介しています。

書類をそろえる前に、手続きの型を確かめます

当事務所では、最初に登記・区域区分・農業委員会への確認を済ませ、何条のどの手続きになるのか、その窓口で何を求められるのかを整理してから書類の準備に入ります。申請に添える位置図や配置図の作成、申請書に書く資金計画の整理、農業委員会との事前相談も、行政書士の業務としてお引き受けしています。

一方で、許可を出すかどうかを判断するのは行政庁です。当事務所ができるのは、調査にもとづく見通しをお伝えし、書類を整えるところまでです。また、測量・分筆・地目変更登記は土地家屋調査士、所有権移転登記は司法書士、税金のことは税理士の業務範囲ですので、必要な場面では提携する専門家と連携します。

調査から申請までの流れと料金は、農地転用・都市計画法許可サポートのご案内にまとめています。

農業委員会から渡された書類の一覧や、お手元の課税明細書・登記の写しをそのまま送っていただければ、何条のどの手続きになるのか、どれから集めればよいのかを整理してお返事します。ご相談はお問い合わせフォームから承っています。

本コラムは制度の一般的なご説明であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別の事案についての法律判断・見通し、示談交渉、裁判手続の代理は行政書士の業務範囲外となりますので、必要な場合は提携の弁護士・税理士・司法書士をご紹介しています。

記載内容は執筆時点の情報にもとづいています。制度・運用は変わることがありますので、実際のお手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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