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相続した農地、まず何から調べればいいのか

行政書士 保利澄香 農地転用・都市計画法許可

「親が残した田んぼを相続したんですが、どうしたらいいのか分からなくて」。農地のご相談は、たいていこの一言から始まります。ご本人は東京にお住まいで、農地は実家のある県にある。耕す人はいない。売りたいけれど、農地のままでは買い手がつかないと言われた。この形が、いちばん多いパターンです。

農地の手続きは、実は「調べるところ」が仕事の半分以上を占めます。逆に言うと、最初に何を調べればいいかさえ分かれば、道筋はかなりはっきりします。

最初に確かめるのは3つだけ

順番に、次の3つです。

  • 地番 — 住所(住居表示)とは別の、土地につけられた番号です
  • 登記地目 — 登記簿に書かれている土地の種類。「田」「畑」「宅地」など
  • 区域区分 — その土地が市街化区域なのか、市街化調整区域なのか

地番がわかれば、登記地目は法務局の登記情報提供サービスで確認できます。「地番なんて知らない」という方がほとんどですが、大丈夫です。固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書に載っていることがほとんどなので、お手元の書類をそのまま見ていただくのが早道です。

課税明細書の見方も具体的に書いておきます。注目するのは「地番」「地目」「地積」の欄で、たとえば「○○市大字○○ 123番1/畑/950㎡」のように載っています。ここでひとつ実務的な注意があって、明細書には登記地目と現況(課税)地目の2つが並んでいることがあります。登記は「畑」なのに現況は「宅地」となっていたら、過去のどこかの時点で建物が建った可能性が高いサインです。この食い違いは手続きの組み立てを大きく変えるので、両方の欄が写るように資料をお送りいただけると助かります。

登記が「田」や「畑」なら、農地として扱われるのが前提

現況はもう何年も耕していない、実際には草むらになっている、一部は駐車場として使っている。そういう土地でも、登記地目が田・畑のままであれば、実務ではまず農地として扱われることを前提に調査を進めます。農地かどうかは登記だけでなく現況もあわせて判断されるのですが、「もう耕していないから農地ではない」と自己判断して話を進めてしまうと、売却や建築の段階で止まります。

なお、長年耕作されておらず農地に戻すことが現実的でない土地は、「非農地証明」という別の手続きの対象になる場合があります。どちらの道筋になるかは、正直なところ調べてみないと分かりません。

市街化区域かどうかで、手続きの重さが変わります

同じ「農地を宅地にする」でも、対象地が市街化区域にあるなら、あらかじめ農業委員会に届け出れば足り、許可までは求められません。書類が整えば比較的短期間で進みます。一方、市街化調整区域は市街化を抑制するための区域なので、転用が認められるかどうかは立地基準の判断になり、都市計画法の許可が絡むこともあります。こちらは測量や現地調査が必要になることが多く、時間も費用も変わってきます。

ですので当事務所では、市街化区域の農地は全国からご相談をお受けし、市街化調整区域の案件は調査のうえで受任できるかどうかを判断する、という分け方をしています。難しい案件を難しくないように言うことはしません。進められない場合は、その理由と、代わりに取り得る選択肢をお伝えします。

許可が必ず下りるとは言えません

これは正直に書いておきたいのですが、転用の許可が下りない場合はあります。特に市街化調整区域では、立地基準を満たさなければ認められません。当事務所ができるのは、調査の段階で見通しをそのままお伝えすることと、進められる案件を確実に進めることです。結果をお約束することはできない分野です。

たとえば、こんな進み方をします

東京にお住まいの方が、亡くなったお父様名義の畑800㎡を相続した、というケースで流れを見てみます。課税明細書で地番を確認し、登記情報で地目が「畑」であることを確かめ、市役所の都市計画の窓口に地番を伝えて区域区分を聞く。ここまでで、その土地の「重さ」が分かります。市街化区域であれば農業委員会への届出で転用でき、書類が整ってから受理までは1〜2週間程度が目安です。そのまま地目変更や売却の話に進めます。

同じ畑でも市街化調整区域だった場合は、もう一段の調査が要ります。どんな用途なら立地基準に乗るのかに加えて、農用地区域(いわゆる青地)に入っていないかの確認が重要です。青地に入っていると、転用の前に農用地区域からの除外を申し出る手続きが必要で、この受付が年に1〜2回しかない自治体が多く、それだけで半年から1年単位の話になります。「調べてみないと分からない」と申し上げるのは、こういう分かれ道が最初の調査で次々に出てくるからです。

資料を、そのまま送ってください

まとめると、最初のご相談で必要なのは「課税明細書か登記の写しを、そのまま送っていただくこと」だけです。読み取りはこちらでやります。地番さえ分かれば、登記・区域区分・農業委員会への確認まで進められますので、「何を聞かれるか分からないから相談しづらい」という心配はいりません。

なお、当事務所がお引き受けするのは調査と農地法の届出・許可申請までで、その先の相続登記や地目変更の登記は司法書士・土地家屋調査士の、相続税の申告は税理士の業務範囲です。調査結果と書類を整えた状態でおつなぎしますので、同じ資料を集め直していただく必要はありません。

相続の手続きそのものがまだ途中という方は、相続手続きサポートのページもあわせてご覧ください。農地のご相談は、お問い合わせフォームから承っています。

出典・参考(いずれも行政機関の公表資料です)

本コラムは制度の一般的なご説明であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別の事案についての法律判断・見通し、示談交渉、裁判手続の代理は行政書士の業務範囲外となりますので、必要な場合は提携の弁護士・税理士・司法書士をご紹介しています。

記載内容は執筆時点の情報にもとづいています。制度・運用は変わることがありますので、実際のお手続きの前に最新の情報をご確認ください。

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