ホーム / コラム / クリエイター保護

COLUMN

イラストや写真を無断使用されたら、抗議より先にやること

クリエイター保護

夜、スマートフォンに一通のメッセージが届きます。

「これ、〇〇さんの絵ですよね?」という一文に、知らないアカウントのスクリーンショットが添えられている。見ると、たしかにご自身が描いたものが、まったく知らない誰かの投稿として並んでいる。あるいは、通販サイトでグッズになっている。心臓が落ちるような感覚があって、そのまま眠れなくなる。無断使用は、こんなふうに突然知らされることがあります。

このとき、すぐに相手へ連絡したくなるのは当然のお気持ちだと思います。ただ、動く順番を変えるだけで、あとに残る選択肢がずいぶん変わります。

抗議より先に、消えないところへ残す

こちらが気づいたことが相手に伝わると、投稿が消されることがあります。アカウントごと消えてしまうこともあります。そうなってからでは、確かめようがありません。

ですので最初にやっていただきたいのは、抗議ではなく保全です。URLをメモしておけばいい、と思われがちなのですが、URLは相手が消せば何も指し示さなくなります。残しておきたいのは、ページそのものの見た目です。

ブラウザのアドレスバーにURLが写った状態で、ページ全体のスクリーンショットを撮る。相手のアカウント名とプロフィールの画面も撮る。投稿日時が表示されているなら、それも欠けないように撮る。販売ページなら、価格と販売者情報の欄まで含めて撮る。可能ならパソコンからも撮っておくと、あとで書面にまとめるときに扱いやすくなります。日時やURLの写し方は、誹謗中傷の証拠について書いたスクリーンショットだけでは足りないことがありますでもくわしくご説明しています。

そのうえで、第三者のウェブアーカイブサービスで魚拓を取っておいてください。ご自身で撮った画像は「加工したのでは」と見られる余地が残りますが、外部のサーバーに保存日時つきで残っていれば、その疑いを減らせます。ただし、ご自身の本名や住所など、公開したくない情報が写っているページは、公開型のアーカイブには送らないでください。当事務所では、ご相談の初期にこの手順からご案内しています。

もうひとつ、気をつけていただきたいことがあります。相手のアカウントをすぐにブロックしてしまうことです。サービスによっては、ブロックすると相手の投稿が表示されにくくなったり、こちらが気づいたことが伝わって投稿を消されたりします。見たくない気持ちはよく分かるのですが、保全が終わるまでは、ミュートなど見えなくするだけの機能にとどめておくほうが安全です。

自分が先に作ったことを示す材料も揃えておく

保全とあわせて考えておきたいのが、「その絵があなたのものだと、どうやって示すか」という部分です。ネット上では投稿日時が並ぶだけなので、相手が「自分が先だ」と言い張る余地が残ってしまうことがあります。

ですので、ご自身の側の記録も、いまのうちに引き出しておいてください。制作途中のレイヤーが残っているデータ、下描き、写真ならRAWデータ、最初に公開したときの投稿画面、納品時のメールやチャットの履歴。ここまで揃っていると、事実関係を書面にまとめたときの説得力がまるで違います。

使われ方によって、相談する先が変わります

保全が済んだら、次は行き先の整理です。ここは正直に線を引いてお伝えします。

投稿の削除を求める請求、相手が誰かを突き止めるための発信者情報開示請求、損害賠償の請求。これらを代理して行うのは、いずれも弁護士の業務です。当事務所では行いませんので、ご希望があれば提携の弁護士をご紹介しています。

一方で、SNSや通販サイトが用意している権利侵害の申告フォームは、ご本人が使えるものです。また、2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、総務大臣の指定を受けた大規模なプラットフォーム事業者に、権利侵害を理由とする削除の申出を受け付ける窓口を整え、申出を受けた日から原則として7日以内に、削除などの措置をとるかどうかを申出者に通知することが求められるようになりました。この期限が定められているのは指定を受けた事業者だけで、どこが指定されているかは総務省の公表資料で確認できます。申告に添える事実関係(いつ、どこに、どの作品が使われているか)を時系列の書面に整理するところは、当事務所でもお手伝いできます。

相手が匿名で、やっていることが悪質な場合には、刑事告訴という手段もあります。著作権の侵害の多くは、被害を受けた側の告訴がなければ起訴できない親告罪とされています(著作権法123条。有償で提供されている作品をそのまま複製して売る・配信するといった一部の行為は例外です)。期間の話も、取り違えのないようにお伝えしておきます。親告罪の告訴ができる6か月の期間は、「投稿された日」からではなく「犯人を知った日」から数えます(刑事訴訟法235条)。相手が誰なのか分からないうちは、原則としてこの期間は進みません。「投稿から半年を過ぎたら終わり」という説明を見かけることがありますが、そこは分けて考えていただきたいところです。

当事務所が告訴状の作成をお引き受けしているのは誹謗中傷の分野で、その内容は刑事告訴サポートでご紹介しています。なお、個別の事案で犯罪や権利侵害が成立するかどうかという法律判断や、告訴をした場合の見通しは、どの分野でも申し上げることができません。作品の無断使用については、いま何ができて、どこに相談するのが早いか、というところまでを整理してお伝えします。

公開の場で名指しする前に、ひと呼吸

見つけたときの怒りは、そのままSNSに書きたくなるものです。

ただ、相手を名指しして強い言葉で断じてしまうと、こちら側に別の問題が生まれることがあります。まだ確認できていない事情があるかもしれませんし、あとから手続きに進むときに、その投稿がご自身の立場を難しくすることもあります。事実の記録として保全することと、公開の場で相手を名指しすることは、切り離して考えていただけたらと思います。

次に同じことが起きないように

ここまでは起きてしまったあとの話ですが、無断使用のなかには、契約の書き方で防げるものもあります。

納品したイラストが、聞いていない広告に使われていた。グッズになっていた。この種のものは、相手が悪意で盗んだというより、どこまで使っていいかを決めずに納品していたために起きていることがあります。使えるのはどの媒体か、期間はいつまでか、二次利用やグッズ化を含むのか。ここを一度書き切っておけば、次からは「契約書のこの条項の話です」と言えるようになります。使える範囲の決め方は、契約書がないまま仕事を受けているクリエイターの方へで、もめやすい4か所としてまとめています。

当事務所では、いまの取引の実態をうかがったうえで、金額と納期を差し替えれば使い回せる一枚の型をおつくりしています。初回のご相談もお見積りも無料で、お見積り前に費用が発生することはありません。やりとりはオンラインで完結しますので、遠方の方でもご依頼いただけます。なお、ロゴやキャラクター名を商標として登録する出願手続は弁理士の業務ですので、必要なときは弁理士をご紹介します。

契約書づくりのお手伝いの内容は、クリエイター保護サポートのご案内にまとめています。

まだ何も整理できていない状態でも構いません。ご相談はお問い合わせフォームから承っています。

本コラムは制度の一般的なご説明であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別の事案についての法律判断・見通し、示談交渉、裁判手続の代理は行政書士の業務範囲外となりますので、必要な場合は提携の弁護士・税理士・司法書士をご紹介しています。

記載内容は執筆時点の情報にもとづいています。制度・運用は変わることがありますので、実際のお手続きの前に最新の情報をご確認ください。

→ クリエイター保護のご案内を見る → コラム一覧へ戻る

CONTACT

まずは、お話をお聞かせください。

まだ内容が固まっていない段階からで大丈夫です。お問い合わせフォームからお送りいただければ、行政書士より直接お返事します。初回のご相談は無料です。

婚前契約・補助金・相続・農地転用などのご相談はお問い合わせフォームで承っています。
TEL 050-8894-0105(官公庁・警察署からのご連絡用)